久しぶりにコラムを書きます。
書くのに7時間ぐらいかかるので気合がいります。
今回のテーマは対局中の観察についてです。
何度かメールで質問をくれた方にお話した内容ですが、大変評判が良い話です。
卓打ちをする高校生や大学生からはサイトに書かないで欲しいと言われるほどですが、もったいぶるような事でもないので書いてしまいましょう。
観察がテーマなので、実戦、つまりリアル麻雀を打つ事を前提としています。
最近は戦術もネット麻雀主体で語られる事が多いので・・・実戦派の参考になるように考えました。
さて、麻雀をプレイする中でもとりわけ重要な能力の一つに危険察知力があります。
同レベルの面子と対局した場合、和了率は高くても25%程度であり、最低でも70%は他人がアガるわけです。
となると、
・リーチや2副露・3副露など「テンパイ確実」「テンパイ濃厚」
・ドラポンや染め手など「高打点確実」「高打点濃厚」
こういった手に対して振らない、すなわちベタオリできる能力は必須です。
しかし自分のレベルが上がり、中級者、上級者になってくると「ベタオリできる」だけでは不十分になってきます。
麻雀には「今は危険じゃなくても将来危険になる、しかも自分が損をする可能性が高い」という局面が多々あるからです。
結果的に「オリてた方がよかった」と後悔する事になるような局面ですね。
・このまま手が進んでも高くならない
・このまま手が進んでも待ちが悪い
・(他家と競ってまでアガる必要が無いのに)自分がテンパイする頃に他家のリーチと衝突しそう
・誰かがダマでテンパっていそう
これらが代表的な見えない危険です。
10順目の時点で他家のリーチや2副露以上はなく、目に見えた危険は無いが自分も3向聴
こんな状況でダラダラと危険牌を切り続けるのが危険察知力が無い打ち方の典型です。
ベタオリができるようになった中級者に多い打ち筋で、
「リーチには振らないんだけど勝てない」
「ダマや鳴き手に振る事が多い」
といった悩みを抱えている人がこういう打ち方をしています。
心当たりがある人も多いと思いますが、誰もが通る道ですので気に病む事はありません。
さて、こういった見えない危険にどう対処するか考えていきます。
麻雀には手出しツモ切りや思考時間、態度に至るまであらゆる判断材料が存在しますので、小さな"脳力"で大きな効果のある情報や手段を取る事、大きな"脳力"のかかる事を小さな"脳力"ですむようにマニュアル化する事が大切です。
そうやって手段を選んでいくと、真っ先に切り捨てられる材料があります。
それが手出しツモ切りの観察です。
残念な事に、未だに多くの人が「手出しツモ切りを観察し、そこから危険牌を探る」という戦術を真に受け、「上級者になるための試練」のように考えています。
しかしこの考えはすでに古いもので、現代麻雀では捨ててもいいほどです。
この分野がバージョンアップされていないため、未だに古い戦術が必要とされているだけです。
手出しツモ切りを見るのは単純に疲れすぎます。
親のみに限定しても疲れます。
そして、使う脳力の割にほとんど役に立ちません。
誰もが一度「今回はバッチリ見る」「親だけでも見る」なんて思った事があるのではないでしょうか。
実際やってみると無理だったはずです。
ですので他家の手出しツモ切りは基本的に見なくて構いません。
見る必要があるのは3鳴きした時の切り出しなど、一打で極めて正確な危険牌予測ができる時だけです。
(今回は手出しからの読みがテーマではないのでその話はまた別の機会にします。)
全員の手出しツモ切りを覚えるのはテスト範囲を全ページ勉強するようなものです。
確かにそうすれば高得点を取れる可能性は高くなりますが、全教科でそれをやるのは現実的ではありません。
やはり進○ゼミ風に要点を効率よく学習する方法を取るべきです。
確かに昔の麻雀は「何が危険か」を推理するのが守りの基本でしたので、危険牌を推理する材料として手出しツモ切りを見る技術が要求されました。
「裏スジ」や「またぎスジ」といった材料ですね。
この手の材料は手出しだったかツモ切りだったかを覚えていないと推理に役立ちません。
しかし、現代麻雀では「何が危険か」ではなく「いつから危険か」に感性を向けるほうが重要です。
なぜならば、他家のリーチやテンパイ気配に対してオリる時は回し打ち(危険牌を避けながら手を進める)ではなくベタオリ(手を崩しても安全を追いながらオリる)をするからです。
危険牌を読む必要がないのですから、「危険牌を読むための観察」は必要なくなるわけです。
「手出しで5を切ったら14(裏スジ)や47(またぎスジ)が危険」という知識よりも、
安全牌の優先順位に書いてあるようなオリる順番を理解しておく方が大切なのです。
危険牌を特定する事を捨て、危険になる瞬間を探るようにすれば、小さな脳力で収穫できる判断材料がたくさんあります。
"ネット麻雀+デジタル麻雀"が流行っているのでアナログな戦術は軽視されがちですが、やはり思考時間や態度の観察は実戦では有用な情報になります。
人間は思っている以上に態度に出ています。
・必ず萬索筒字で理牌する
・必ず牌の上下を揃える
・テンパったとたん喋りだす、タバコを吸い始める
・鳴きたい牌がある時はタバコを吸わない(火をつけている間に見逃すかもしれないので)
・染め手気配で途中から無言(待ち牌を考えてる)
・鳴き手の時しか河を見ない
・途中から頻繁に河を満遍なく見ている(=七対子が二向聴ぐらいになって手ごろな牌を探している)
・テンパイするまで河は見ない(=河を見ていない間は安全)
・人の打牌を見ない(絶対テンパってない)
この辺りがよく言われる「手が透ける態度」ですね。
手出しツモ切りの観察よりは簡単ですが、全てを意識できるようになるには慣れが必要ですので、さらにツボをおさえた観察をしたい所です。
そこでオススメなのが「他家の打牌を見たかどうか」です。
これが非常に強力なツボで、場合によってはそれだけで100戦100勝できるチートアイテムです。
つまり「A君が捨てている時はA君を見る」という常識を外れ、「A君が捨てている時にB君を見る」のです。
皆さん身をもって知っているように、人は用もないのに他家の打牌を見るのは苦痛で仕方ありません。
初心者の人はテンパっているか鳴きたい牌がある時以外は目を向けることすらしません。
中級者の人でも時々見るぐらいです。
時々しか見ないという事は「意味もなく見ている」という事です。
時々しか見ない人に鳴きたい牌はありませんし、ましてテンパイはしていません。
この策が通用しないのは全ての捨て牌を観察している人だけです。
A君が捨てている時にB君とC君の2人を見られればいいですが、実際やると2人を見るのは大変です。
そこで、法則を決めて観察してみましょう。
B
C A
自
A君が下家
B君が対面
C君が上家
という並びです。
こういう時は、
・A(下家)が捨てる時はC(上家)
・B(対面)が捨てる時はA(下家)
・C(上家)が捨てる時はB(対面)
・自分が捨てる時はC(上家)
という法則で観察してみましょう。
麻雀をプレイ中の人が一番見るのは自分の上家です。
チーがあるので、上家の打牌は見るのがクセになっている人が多いためです。
また、次が自分のツモ番なので自然と目線が上にいっています。
逆に、一番見ないのは自分の下家です。
チーがなく、自分が打牌した直後なので自分の手を見ている事が多いためです。
よって、打牌する人の上家を見るのが最適です。
A君の上家は自分なので、代わりにA君の対面であるC君を見ます。
B君の上家はA君、C君の上家はB君ですね。
自分が捨てる時に人を観察するのは難しいかもしれませんが、余力があれば上家のC君を見ます。
目を上げたついでに全員を見られるようになれば完璧です。
これがもう、初心者の方相手だと面白いぐらいに状況が透けます。
突然目を凝らして捨て牌を見はじめるので「いつから危険か」が手に取るように分かります。
中級者の方を相手にしても隙はありません。
従来の手出しツモ切りの観察は、危険牌を推理する事が第一の目的のため基本的に見逃す事ができません。
どれが手出しでどれがツモ切りかを全て覚えておいて初めて最高のパフォーマンスになります。
「ツモ切りが続いたらテンパイ」などというのは戦術でも何でもありません。
空切り(手出しと見せかけて同じ牌を捨てる)されただけで分からなくなりますし、「ツモ切りが4順続いたからテンパイ」なんかは4順もテンパイに気付かず危険に晒されていた事になります。
一方"新しい観察術"は、他家の打牌時にターゲットはどこを見ていたかという1点で推理するため、少々見逃してもいいし、なんなら途中から見ても構いません。
その上ターゲットの致命的な情報は一発で掴めます。
どんなに打牌を見るように努力している中級者も、テンパっていなければ1回や2回は打牌を見ずに自分の手を見ていたという時があります。
それだけ見られれば十分です。
全員の打牌をチラチラ見ている人もいますが、それでも「ただ見ている」のと「ロンしたくて見ている」「鳴きたくて見ている」のは全然違います。
もちろんこの方法も万能ではありません。
見ていないように思えても目の端で打牌を見ている人も居ます。
それでも、従来のように手出しツモ切りを見るよりははるかに使い勝手が良い戦術なのは間違いありません。
某アカギさんの打ち筋は「天才の一打は凡夫の十打に勝る」と評されましたが、全ての戦術はそのような方向を目指すべきだと思います。
100の労力を使う作業を10にしてこそ戦術です。
そして、余った90でさらに良い戦術を実行するのです。
今回の観察術はその一つにすぎませんが、気になった方は試して見て下さい。
それでは、第五回のコラムはこの辺で終わりにしたいと思います。
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